北國民主党ボストン(2019/08/10)
イギリスの清教徒たちが自由な新世界を求めて17世紀に上陸したマサチューセッツ州の州都ボストンを久しぶりに訪れた。トランプ政権下、米国独立の原点で故ケネディ大統領生誕の地でもある街でどんな変化が起きているか知りたかったからだ。
折から2020年大統領選の民主党候補テレビ討論会がデトロイトで行われていた。ステージに立ったのは、前副大統領や上院・下院議員、州知事、市長、企業家、ベストセラー作家など20人の多彩な顔ぶれ。その中で脚光を浴びた候補のひとりにリベラル色を強く打ち出すマサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員(70)がいた。移民問題や健康保険制度に関して一部の候補から攻撃を受けたが、みごとな切り返しで形勢を逆転。知的な話しぶりで、寛容な移民政策の必要性と大企業や富裕層へ増税などを財源にして国民皆、保険制度の導入を主張していた。
1949年、オクラホマ州オクラホマシティで決して豊かではない家庭の末っ子として生まれたエリザベスは、13歳の頃から祖母が経営するレストランで働き始めている。若くして論客としての才能を発揮し、高校生の時に州内のデベート・コンクールに優勝し、奨学金でジョージワシントン大学に進学。二児を出産後に司法試験に合格し、名門ハーバード大学法学教授も務めた努力家だ。2012年、マサチューセッツ州初の女性上院議員に選出され、地元のボストン・グローブ紙が「2020年の大統領選挙が期待できる」と書いたが、その通りになった。
現時点の世論調査では、オバマ政権で副大統領を務めたジョー・バイデン候補が先頭を走っている。しかし最終的に民主党候補が選出されるのはまだまだ先のことだから何が起きるかわからない。6月下旬から2020年4月までに最大12回行われる予定の予備討論会や、2月から6月まで各地で開催される党員集会、予備選挙を勝ち抜いてようやく7月13日~16日の民主党全国大会で最終的に候補者が選出される。莫大な資金力と体力、精神力が求められる過酷なマラソン・レースなのだ。だが、そのお陰で有権者は候補者の人となりや考えをじっくりと吟味できる。
迎え撃つ共和党は、今のところ現職のトランプ大統領が圧倒的に有利だとみられている。あれだけ傍若無人に振る舞い、下劣な性・人種差別発言や嘘を繰り返しているのに何故と思われるかもしれない。だが、それほど米国内の経済格差や移民問題、宗教的対立などによる分断が深刻なのだ。
それを大統領は逆手にとって再選戦略の中心に置いている。先月末、トランプ氏は自分に批判的な民主党下院議員の黒人が多い選挙区を「ネズミまみれの、ひどいところ」と罵った。あからさまな人種差別である。それでも、ボストン郊外で話を聞くとトランプ支持という有権者がいた。暗澹たる気持ちでその場を後にした(終)
北國民主党ボストン(2019/08/10)
イギリスの清教徒たちが自由な新世界を求めて17世紀に上陸したマサチューセッツ州の州都ボストンを久しぶりに訪れた。トランプ政権下、米国独立の原点で故ケネディ大統領生誕の地でもある街でどんな変化が起きているか知りたかったからだ。
折から2020年大統領選の民主党候補テレビ討論会がデトロイトで行われていた。ステージに立ったのは、前副大統領や上院・下院議員、州知事、市長、企業家、ベストセラー作家など20人の多彩な顔ぶれ。その中で脚光を浴びた候補のひとりにリベラル色を強く打ち出すマサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員(70)がいた。移民問題や健康保険制度に関して一部の候補から攻撃を受けたが、みごとな切り返しで形勢を逆転。知的な話しぶりで、寛容な移民政策の必要性と大企業や富裕層へ増税などを財源にして国民皆、保険制度の導入を主張していた。
1949年、オクラホマ州オクラホマシティで決して豊かではない家庭の末っ子として生まれたエリザベスは、13歳の頃から祖母が経営するレストランで働き始めている。若くして論客としての才能を発揮し、高校生の時に州内のデベート・コンクールに優勝し、奨学金でジョージワシントン大学に進学。二児を出産後に司法試験に合格し、名門ハーバード大学法学教授も務めた努力家だ。2012年、マサチューセッツ州初の女性上院議員に選出され、地元のボストン・グローブ紙が「2020年の大統領選挙が期待できる」と書いたが、その通りになった。
現時点の世論調査では、オバマ政権で副大統領を務めたジョー・バイデン候補が先頭を走っている。しかし最終的に民主党候補が選出されるのはまだまだ先のことだから何が起きるかわからない。6月下旬から2020年4月までに最大12回行われる予定の予備討論会や、2月から6月まで各地で開催される党員集会、予備選挙を勝ち抜いてようやく7月13日~16日の民主党全国大会で最終的に候補者が選出される。莫大な資金力と体力、精神力が求められる過酷なマラソン・レースなのだ。だが、そのお陰で有権者は候補者の人となりや考えをじっくりと吟味できる。
迎え撃つ共和党は、今のところ現職のトランプ大統領が圧倒的に有利だとみられている。あれだけ傍若無人に振る舞い、下劣な性・人種差別発言や嘘を繰り返しているのに何故と思われるかもしれない。だが、それほど米国内の経済格差や移民問題、宗教的対立などによる分断が深刻なのだ。
それを大統領は逆手にとって再選戦略の中心に置いている。先月末、トランプ氏は自分に批判的な民主党下院議員の黒人が多い選挙区を「ネズミまみれの、ひどいところ」と罵った。あからさまな人種差別である。それでも、ボストン郊外で話を聞くとトランプ支持という有権者がいた。暗澹たる気持ちでその場を後にした(終)
ブレグジットにロシアの影(2019/05/13)
「日本は台湾に何ができるか」(2019/05/13)
しかしというか、だからこそ来年が心配になる。
総統選挙が予定されているわけだが、現在の民進党・蔡英文総統への支持が芳しくない中で、党内で元行政院長の賴清德氏が立候補を宣言。
一方で中国は台湾と外交関係にある国々を激しく切り崩しにかかっている。
中国が支援する国民党が勝利を手にするのだろうか。
あるいは台湾統一の意思を強く示している習近平国家主席が、何らかのより踏み込んだ行動をとるのだろうか。
日中関係は一定の安定した状態にある。
だからこそ、中国と台湾との対立が明確になったときに、日本は親日国であり戦略地である台湾に何をするのだろうか。何ができるだろうか。
「平成」から「令和」へ(2018/05/11)
「平成」から「令和」と元号が改められ日本は新たな時代に入る。元号は紀元前の古代中国で使い始められたもので、日本や朝鮮半島、ベトナムに伝えられたが中国では現在使われていない。元号は紀年法と称され、皇帝や王など君主の即位毎に変わる有限の元号は日本のみであり明治以降、天皇一代につき元号1つの「一世一元」を採用している。
日本では大化の改新(645年)時に「大化」が用いられたのが最初であり、それ以降1000年以上にわたり元号を継承し続けている。「令和」は「人々が心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味らしい。日本の元号が素晴らしいのは、儀礼的な存在にとどまらず、市民の生活に密着している点であり日本という国家の一体性を維持してきたことは間違いない。
新たな「令和」の典拠は、万葉集巻五に収録された梅花の宴の歌の序文「于時、初春令月、気淑風和(時は初春の令き月にして、気は美しく風は和らぎ)」にあり、大伴旅人を中心とするグループが詠んだとされる。史上初めて、元号が漢籍ではなく国書から採用された意義は大きい。
日本は戦後、「昭和」から「平成」を経て「令和」の時代へと移行する。「昭和」の時代は、日本は敗戦を経験し独立へと向かった。そして東西冷戦に巻き込まれ、朝鮮戦争、ベトナム戦争など幾多の戦争を経験した。一方、日本は高度経済成長を迎え米国に次ぐ第二位にまで上り詰めた時代であった。
その「昭和」の終わりを、私は中曽根総理と迎えた。忘れもしないが、1989年1月7日午前6時に昭和天皇は崩御され、その様子をみながら我々は中曽根総理のもとに集まり今後の世界の行く末を案じた。果たせるかな-、それから間もなくベルリンの壁が11月にあっけなく崩れ東西冷戦が崩壊した。
「平成」はそのようにして始まり、新たな世界秩序が模索された。しかし米国同時多発テロ以降「テロとの闘い」が開始され世界は闇に覆われた。一方、日本はバブル経済で米国経済を一瞬ではあるが抜き「Japan As NO1」を経験した。しかしながら日本国内は平成の時代の末期には大震災に見舞われた。
そして平成の終わりに米国を中国が凌駕しはじめ世界は混迷期に突入した。「令和」の時代に日本はどう存続するかが問われる。
朝鮮半島雪解け(2018/03/10)
焦り、恐れ、それとも策略? 最近まで一触即発の戦争前夜だと政府もマスコミもこぞって大騒ぎしていた朝鮮半島が今や降って湧いたような雪解けムード。武力衝突を煽っていた方々はさぞかし慌てていることだろう。
じつは平昌五輪参加を機に北が韓国に対して平和攻勢を仕掛けてくるという話は早くから日韓の専門家の間で囁かれていた。それでもこの変わり身の早さはびっくりである。次々と弾道ミサイルを発射し6度目の核実験も強行した金正恩が破顔一笑で韓国特使団を迎え入れたかと思えば、4月には南北首脳会談を開催するというではないか。しかも軍事境界線にある板門店で!
さらに大ニュースが飛び込んだ。訪米した韓国特使がホワイトハウスで声明を読み上げ、トランプ米大統領が5月までに金氏と会談することに応じたと発表。北が「非核化」の意向を表明し、今後は核実験や弾道ミサイル発射を自制すると約束したからだという。米大統領の決断を韓国特使がホワイトハウスの外で発表するというのは私の知る限り前代未聞だ。
この段取り上手はどうしたことか。金正恩はてっきり暗殺を恐れて昼夜逃げ回っていると思っていたのに。どんな嘘も真実になり得る時代はこれだから始末に悪い。
今回のデタント劇は、五輪に代表団を送る用意があるという金正恩の元旦発言から始まっている。これでスポーツの祭典は一瞬にしてホットな外交の舞台へと変容した。訪韓した北朝鮮政権幹部の中でとりわけ注目を集めたのは、「美女応援団」とともに姿を現した金正恩氏の妹、金与正。韓国政府が彼女のために「国賓A」と呼ばれる最高レベルの警備体制を敷いたことからも最重要人物であったことが分かる。ちなみにペンス米副大統領は「B」、トランプ大統領の娘イバンカは「C」ランクだったという。ちょっと笑ってしまった。
端正な顔立ちの金与正は笑みを浮かべながら「親北」の文在寅韓国大統領に訪朝を促し、米韓関係に楔を打ち込んだ。みごとな「微笑み外交」である。韓国政府関係者の話として、彼女を訪韓させたのは北朝鮮が南北関係の改善を通じて制裁圧力を突破しようとしている傍証だという解説までつけて。
それだけではない。金正恩は、朝鮮半島の非核化のために米国と虚心坦懐に話し合う用意があり、対話継続中は核実験やミサイル発射はしないというメッセージを韓国特使団を通じて世界にしたたかに発信。外交のボールを米国のコートに投げ返して、米国の先制攻撃を封じた。
機先を制されたトランプ大統領には米朝首脳会談への招待状まで用意されていた。この餌にトランプ氏は独断で食いついた。国務省にもペンタゴンにも相談なしに。実際の実務交渉は誰がすると思っているのだろう? 何しろ無原則でスタンドプレーが大好きな大統領である。世間の目を不倫スキャンダルやロシアゲート疑惑からそらすことが出来れば有利だと考えたに違いない。ひょっとしたらノーベル平和賞まで夢見ているかも。そういえば、韓国初のノーベル賞受賞者は2000年に第1回南北首脳会談を実現した金大中大統領だった。ただ、金で買ったのではとの批判が絶えない。首脳会談実現のために500億円以上を金正日に送金したという疑惑が晴れていないからだ。文大統領は五輪協力費として北に気前よく2億8000万円を供与している。首脳会談はどうだろうと思わず邪推してしまう。
いずれにせよ、北朝鮮は石油がないから戦争が出来ない。一番恐れているのは米国の奇襲攻撃による体制崩壊だ。それを防ぐには核武装しかないというのが一貫した北の考えである。その目的達成まで、とにかく脅しとはったりを利かして時間を稼いでいくだろう。武力衝突が起きるかどうかは米国次第だ。
残念ながらこれまでの朝鮮半島をめぐる米国の交渉は失敗の連続。米国の担当者が目先の成果を狙うあまり部分的な合意しか出来なかったこと、そして北朝鮮が何度も約束を破って核開発を続行してきたことが主な理由である。「軍事的脅威が解消し、体制の安全が保証されれば核開発の必要がない」という北朝鮮の言葉の裏には、相変わらず「核武装、在韓米軍の撤退、朝鮮半島武力統一」という野望が透けて見える。
さてトランプはどうするのか。彼の周りにはミサイルを撃ちたくてうずうずしている強行派もいるが、トランプ自身は悲惨な核戦争を始める度胸はないだろう。お得意のツィッターで以前にこうつぶやいていた。
「どうして金正恩は僕を『老いぼれ』と呼んで侮辱するんだ。僕は絶対に向こうを『チビでデブ』なんて呼ばないのに。まあいいや。友達になろうと、こちらはこんなに努力している。いつの日かはそうなるかもね!」(終)
中国海洋進出の背景(2016/12)
国際常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が今年7月12日にフィリピン政府の訴えを認める裁定を下し、中国が歴史的領有権を主張する「九段線(Nine-Dash Line)」には国際法上の根拠がないと断定するや、中国は国を挙げて「この裁定は紙くず」「無効で拘束力もない」とヒステリックな非難を繰り返してきた。9月初旬、G20(中国・杭州)とASEAN首脳会議(ラオス・ビエンチャン)では、中国の水面下での外交攻勢が功を奏して、共同宣言では仲裁裁判所の裁定には直接言及することはなかった。元々、中国から膨大な経済援助を受けて親中派と目されていたラオス・カンボジアに加えてドゥルテが大統領となったフィリピンも経済援助と引きかえに沈黙してしまった。
8月前半に開かれた恒例の「北戴河会議」では党長老と習近平・共産党総書記(国家主席)との激しい対立の結果、後者が窮地に立たされたかのような報道が一時的になされたが、10月下旬に開催された「6中全会(第18回中央委員会第6全体会議:24〜27日)」では、習近平が共産党の「核心」と位置づけられ、「1強体制」が強化されたとの見方が有力となっている。「習1強体制」の下で南シナ海問題ばかりでなく、東シナ海問題も含めた中国の海洋進出が加速することは疑いない。ではなぜ中国は海洋進出を加速してきたのであろうか。
(1)大陸国家から海洋国家へ:マクロ的に見れば米ソ冷戦終結と中ソ対立の終焉により、中国が大陸国家から海洋国家へ国家としての性格を転換させる条件を確保したからである。歴史的にみれば大陸国家であった中国は、共産中国が成立した後も大陸支配強化のため陸軍が主体であり1960年前後から中ソ対立が激化したため、約6400kmに及ぶ国境を防衛するための大陸国家としての「伝統」を堅持していた。2つの対立・緊張の終焉は大陸国家としての制約から中国を解放したのである。
(2)沿岸海軍から近代海軍へ:1972年に米中接近を実現しさらに79年には米中国交を達成したが「未回収の中国(チャイナ・イレデンタ)」ともいえる台湾へのコミットを維持・強化していたアメリカがソ連・ロシアに変わり中国にとって潜在敵となったのである。1982年9月鄧小平は海軍司令員・劉華清に「第一列島線(First Island China)」概念の具体化を指示し、97年には劉の後任となった石雲生は「海軍発展戦略」を策定し、第一列島線に加えて第二列島線の概念を明確に打ち出した。80年代初頭まで中国海軍は約16,000kmと言われる沿岸を防衛する沿岸警備隊程度の組織であったが、経済成長に合わせるかのようにアメリカ第7艦隊を痛烈に意識しつつ近代海軍建設への工程を具体化していった。
(3)共産党統治の正当性の変化:第1の正当性は軍国日本から中国人民を解放したという「歴史的事実」であったが、大量の中国人が海外留学したり台湾の国民党との「和解」が進んだりSNSの普及により日本軍と中心的に戦ったのは国民党であることが明白になり、第1の正当性は崩れてしまった。第2の正当性は「平等の実現」であったが、改革・開放政策の中で展開された「先富論」により完全に否定されてしまった。今や中国共産党が権力を維持するには経済成長により国民を豊かにするという主張しかなくなってしまったのである。継続的な経済成長のためには、商品販売・原料獲得のための海外市場とのシーレーンと海底資源の確保が不可欠となった。「一帯一路」構想、あるいは北極経由の輸送路や中米のニカラグア運河計画、南米縦断鉄道計画など中国版の「世界政策」を実現するためにも海洋進出は不可欠であり、海軍力強化は空軍力強化と一体となってアメリカ軍の接近・干渉を抑止するためにも中国共産党政権には至上命令なのである。
北朝鮮の海外ネットワーク 封じ込め(2016/12)
北朝鮮は、国際社会の非難や警告をものともせずに核実験を行い弾道ミサイル発射を繰り返している。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の精神状態は「制御不能」と評すなかで、中国がようやく重い腰を上げた。米中当局が連携し、平壌の核開発を支援してきた疑いのある中国遼寧省の企業に捜査のメスを入れたのである。米政府は9月26日、「鴻祥実業発展有限公司」と経営者らを刑事訴追した。今後北朝鮮と関係の深い国内企業との接点も焦点のひとつとなってくるだろう。
今回、筆者がこの事件に着目したそもそのも理由は中国企業摘発の証拠固めのなかに米国のC4ADS(高等国防研究センター)と韓国の峨山政策研究院という安全保障にかかわる米韓のシンクタンクが合同でまとめた報告書の存在を知ったからである。制裁下にある北朝鮮がいかにして海外ネットワークを維持しているのかを詳細に解明したものだ。
報告書には合法的とみられる貿易活動の裏で巧妙に制裁逃れが進んでいる状況や、制裁対象の北朝鮮企業と直接・間接に関係がありそうな企業や個人、船舶など562件が記されている。鴻祥グループの企業が北朝鮮と5年間で5億ドル以上の規模の貿易をしていたことも示された。
シンクタンクの研究者らは、企業の事業者登録情報、納税記録、貿易・通関データ、リアルタイム船舶追跡情報などといった公開されたデータを、高度な数理分析ツールで丹念に付き合わせてこれらの事実をあぶり出したのだ。独立シンクタンクによる調査とはいえ、この報告書は実は米司法省との協力の下で作成され、司法省を通じて分析結果が事前に中国政府に知らされたという。この一連の動きがウォールストリート・ジャーナルに伝わり、9月19日に同紙電子版は第一報を報じたと推察される。
シンクタンクらしい政策志向の調査研究によって北朝鮮の海外ネットワークの実態を暴きそこに政府やメディアがダイナミックに関わって封じ込めが可能となった。研究機関とメディア、さらにいえば政府による見事な三者のコラボレーションである。そして米中韓という北朝鮮と利害を持つ三カ国が協力をした点も見逃せない。北朝鮮を考える上で日本も大いに参考になる事例ではないだろうか。
(『産経新聞』2016年10月9日「新聞に喝!」欄に記載のコラム「対北朝鮮、米国の3者コラボ」をもとに一部加筆修正をしています。
更新情報
2022.01.20 | 「FPCニュース」(Vol.16) |
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2021.12.28 | 「FPCコメンタリー」(Vol.19) |
2021.12.20 | コラム「インド太平洋の戦略的脆弱化に歯止めをかける:AUKUSと米国の艦艇建造計画」(「コラム」ページ参照) |
2021.11.28 | 「FPCコメンタリー」(Vol.18) |
2021.11.21 | 「FPCコメンタリー」(Vol.17) |
2021.11.19 | コラム「急速に進行する『宇宙の混雑化』問題」(「コラム」ページ参照) |
2021.10.20 | 「FPCコメンタリー」(Vol.16) |
2021.10.3 | 「FPCコメンタリー」(Vol.15) |
2021.09.11 | コラム「アフガニスタンの混乱」(「コラム」ページ参照) |
2021.09.10 | 川上高司理事長インタビュー(「メディア・論文」ページ参照) |
2021.03.24 | 川上高司理事長インタビュー(「メディア・論文」ページ参照) |
2020.09.25 | 「FPCコメンタリー」(Vol.14) |
2020.08.17 | 「FPCコメンタリー」(Vol.13) |
2020.08.12 | 「FPCコメンタリー」(Vol.12) |
2020.06.18 | 「FPCコメンタリー」(Vol.11) |
2020.05.29 | 「FPCコメンタリー」(Vol.10) |
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2020.04.01 | 「FPCコメンタリー」(Vol.2) |
2020.03.23 | 「FPCコメンタリー」発行(Vol.1、資料ページ参照) |
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2018.06.19 | 川上高司 連載「北東アジア情勢と日米安保の役割③-米国と北東アジア」(「自由民主」6月26日号) |
2018.06.17 | |
2018.06.12 | 川上高司 連載「北東アジア情勢と日米安保の役割②ー中国の『一帯一路』と日米同盟」(「自由民主」6月19日号) |
2018.06.10 | 川上高司 コメント「Abe tries to keep Japan on Trump's radar ahead of Singapore summit」ロイター英語版、6月10日) |
2018.06.10 | 川上高司 コメント「米朝首脳会談2018.6.12 『専門家は語る』」(NHK NEWS WEB、6月10日) |
2018.06.05 | 川上高司 連載「北東アジア情勢と日米安保の役割①-米中経済紛争で高まる地政学的リスク」(「自由民主」6月12日号) |
2018.06.04 | |
2018.05.22 | |
2018.05.20 | |
2018.05.03 | |
2018.05.01 | 石澤靖治 論考「トランプは『名大統領』なのかー認めるべき点と否定すべき点」(「学習院TIMES」、5月1日) |
2018.04.20 | |
2018.04.16 | |
2018.04.10 | |
2018.03.24 | |
2018.03.22 | |
2018.03.18 | |
2018.03.13 | |
2018.03.12 | 川上高司 インタビュー「米朝首脳会談の先に潜む日米離間 『米国第一』への回帰に翻弄される日本」日経ビジネスONLINE(3月12日) |
2018.03.10 | |
2018.03.08 | 1月20日に行った「ポリミリゲーム」が、朝日新聞論座で紹介されました。 |
2018.03.05 | |
2018.03.01 | |
2018.02.26 | |
2018.02.24 | |
2018.02.18 | |
2018.02.16 | |
2018.02.12 | |
2018.02.11 | |
2018.02.10 | 川上高司 インタビュー「日本は国のあり方を考えよートランプの一年が突き付けたものー」(「改革者」3月号) |
2018.02.07 | 川上高司 論考「米国から見たアジア地域における中国の安全保障政策の在り方」(「インテリジェンスレポート」2月号 (社)総合政策研究所) |
2018.02.06 | |
2018.02.02 | |
2018.01.31 | 川上高司 記事「米一般教書 北の脅威訴え韓国にくぎ」(産経新聞)※内容はこちら |
2018.01.29 | |
2018.01.26 | |
2018.01.19 | 石澤靖治 記事「トランプ米大統領:就任1年 メディア不信を利用」毎日新聞 (1月19日)※内容はこちら |
2018.01.15 | |
2018.01.14 | |
2018.01.13 | |
2018.01.09 | |
2017.12.31 | |
2017.12.28 | |
2017.12.27 | |
2017.12.25 | 川上高司 記事「米安保戦略を読む、実は中ロと宥和するサイン」日経ビジネスONLINE(12月25日) |
2017.12.19 | |
2017.12.17 | 深層を読む「今年のトランプ政権は”転職政権”だった」(川上高司) 川上高司 記事「米朝対話は実現せず」日本経済新聞電子版(12月17日付) |
2017.12.16 | |
2017.12.10 | |
2017.12.03 |